アコムの速報

投資家保護を使命とする証券取引委員会(SEC) は、証券市場の健全な発展のために様々な規制を設けていますが、その要としているのがディスクロージャーの充実です。

目論見書はまさにその中核にあるものなのです。 投資家はファンド購入の前に必ず目論見書を読むことを要求されていますが、 ミューチュアルファンド会社の目論見書は決して読みやすいものではありません。
典型的なパターンとしては、全部で30ページ強、文章情報が多く内容は制度上指定されたものといった具合です。 例えばそのファンド、への投資リスクに関する項目では、図表を使わず文章ばかりで4-5ページにわたり説明しであるというのも珍しくありません。
重要な情報が満載されている目論見書も、肝心の投資家が読まないのでは意味がありません。 ミューチュアルファンドが一般市民にとって身近な投資商品になり、証券投資に不慣れな投資家もファンドを購入するようになるにつれて、 SECは、複雑で、長いという理由から目論見書が投資家に読まれていない実情を深刻に捉えるようになりました。
こうして、 SECは目論見書全般を読みやすくするための規制改革に乗り出しました。 ミューチュアルフアンドの目論見書については97年2月に2つの提案が出されています。
1つ目はI投資家がファンドへの投資判断を下す際に有用な情報かどうか」を基準に目論見書の記載事項を絞り込み、技術的・専門的な事項は投資家の要請によって送付きれることになる「付属報告書」に回すという提案です。 また、ファンドのパフォーマンスとリスクを分かりやすく説明した「リターンとリスクの要約」というコーナーを目論見書の冒頭に新設することも提案されました。
このコーナーに含まれる項目は、ファンドの運用内容、ポートフォリオ戦略、リターンとリスクのミユーチュアルファンドの新展開とディスクロージャー説明(文章による説明と図表による説明を載せる。 そのファンド特有のリスクを中心に説明する)、手数料の一覧、の4つとされました。
この提案に対するミューチュアルファンド業界の反応は好意的なものでした。 SECの規則改正が実現するのに先立って、 SECのアドバイスを得つつ、この提案の主旨に合致するような目論見書を自主的に作成する会社も出てきました。
右ページの図はその一例ですが、前述のからまでの項目が投資家の視覚に訴えるような形で並べられています。 「簡易版目論見書」の提案2つ自のSEC提案は、本式の目論見書とは別に、目論見書のポイントだけを1ページに凝縮し、業界統ーのフォーマットで記載した「簡易版目論見書」です。
簡易版目論見書の特色は、短く簡潔で、読みやすいということに加えて、どの会社のファンドについても同じフォーマットで作られるので、投資家が複数のファンドを横比較して検討する際に便利だという点です。 401 (k)プランでは、従業員が複数の選択肢の中から自分で投資商品を選ぶ作業が必ず生じますが、この簡易版目論見書は企業が従業員に向けて配布する資料にも活用できると考えられます。

たった1ページではありますが、簡易版目論見書は広告資料ではなく目論見書なので、ファンドの購入申込用紙を添付することができます。 投資家は簡易版目論見書だけを見てファンドの購入を決めてもよいですし、やはり正式な目論見書を見たいということであればミューチュアルファンド会社にその旨請求することもできます。
ただし、投資家が簡易版目論見書だけを見てファンドを購入した場合は、購入後速やかに正式な目論見書をその投資家に送付しなければならないことになっています。 簡易版目論見書の記載項目は、ファンドの運用内容、ポートフォリオ戦略、リターンとリスクの説明、手数料一覧、投資顧問会社とファンド・マネジャーについて(担当年数など)、ファンドの購入方法と売却方法(最低投資額など)、配当と課税、の7項目です。
このうちからまでは1つ目の提案に掲げられた「リターンとリスクの要約」のコーナーでの記載項目と同じです。 7項目とも、最も投資家が知りたい情報は何かという観点からSECが抽出したものです。
SECは今回の規則提案に先立ち、 95年から2年間にわたって、F、P、キャピタル・リサーチといった大手ミューチュアルファンド会社の協力を得て、簡易版目論見書の試作プロジェクトを行いました。 その時に使われた試作版イメージが右の図ですが、これを正式な目論見書と併せて投資家に送付したのです。
SECはこの実験の結果を見ながら簡易版目論見書の雛形を作成し、今回の提案に盛り込んでいます。 SECは規制改革を行う際には、改革案を一旦公開して一般からの意見を募集し、それらを基にもう一度改正案を練り直して、最終的な規則改正を行うというステップを踏みます。
2つの提案とも97年6月まで一般からの意見を受け付けましたが1つ目の目論見書を読みやすくする提案については75のコメントが寄せられ、その大多数が支持を表明するものでした。 2つ目の簡易版目論見書の提案については反響はずっと大きし254のコメントが寄せられ9割以上が強い支持を表明し、中でも個人投資家の間で、は非常に好評だったということです。
もちろん、反対意見も含まれていました。 主に弁護士や格付会社などから、投資家が得られる情報が結果的に減少しディスクロージャーが後退するという批判が寄せられました。
例えば、M社は自社のインターネット・ホームページに簡易版目論見書に対する反対意見を公開し、目論見書を暖昧にすることは投資家のためにもミューチュアルファンド業界のためにもならないという批判を投げかけました。 97年10月現在、 SECはこれらの意見を織り込んだ最終規則の作成を投資信託を人々にとってより身近で、わかりやすいものとする努力が、進めています。
米国でのミューチュアルファンド市場拡大の背景には、評価の果たした役割も大きかったようです。 ミューチュアルファンドの運用成績は、ウオールストリート・ジャーナルなどの新聞、雑誌、運用機関からのディスクロージャー資料に加え、第三者の評価機関が情報提供をしています。

米国で9000本を越えるミューチュアルファンドから、投資家が優れた商品を選びだすには、やはりプロの目が必要だということです。 ミューチュアルファンド会社は直接評価会社にデータを提供しています。
その評価結果はもちろん投資家に公表されますが、ファンド会社側も第三者の評価によって優れたパフォーマンスが証明きれれば、マーケティング資料として利用します。 個人投資家だけでなく、投資アドバイスを行うファイナンシャル・プランナーにとっても、情報源としてその利用価値は非常に高いものです。
また、一本のファンドを推奨するときだけでなく、ラップ口座のように、複数のファンドを一度に持つことによってリスクを軽減するような場合にも利用できます。 米国でのミューチュアルファンド専門の代表的評価機関は、モーニングスター社とリッパ一社です。
両社の評価概要を表に載せておきました。

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